都市記憶群

生産都市オグマ

オグマではあらゆるものが精錬され、生産加工され、製品となります。
大量生産、少数生産、オーダー品など顧客が望む物のあらゆる物に対応し、即座に納品致します。
オグマは人類全体に対する奉仕者です。


前線都市スザク

スザクは世界の様々な社会を安定させる為に手段を選ばず、居住者のために全身全霊を惜しまない社会です。
スザクにおいて人は身分と立場を問われず、スザクの全ての幸福と安定の為に全員が努力をしています。


天空都市アマリランテ

アマリランテは多くの都市境の中間点と交易中心点に位置するため、
莫大な経済的利益と引き換えに膨大な戦争に巻き込まれ続けてきました。
アマリランテ側から他都市へ攻撃を加えたことなど一切無いにもかかわらずその地理的特性から経済的利潤を恨まれ、
その利益を巡って数々の都市と衝突し、何度も都市は荒廃しました。
アマリランテは地理的特性から得られる莫大な経済的利益を放棄してでも恒久平和を実現するため、
長年蓄積した財産を費やし都市全体を浮遊させ、大地から飛翔することで恒久平和を達成しようとしました。


砲台都市バラン

バランは超遠距離に物資の輸送と砲弾の雨の両方を可能とする軍事産業都市でした。
そのため遠方の都市に対しても影響力を持ち、都市で迫害された人々や逃げ延びた人々を砲台によって守護し、受け入れ、都市の成長と拡大としてきました。
バランにおいて前歴は問われません。
バランに対して奉仕することのみが求められているだけの自由都市なのです。


Project Remember

ロビィ

子守りから世界は始まった。
人は子を守ることで日々を生き、自分を知り、未来を得る事ができた。

子守りとはすなわち世界そのものである。
我々は生物の根源活動である子守りを、ロボットに引き渡したのだ。
それがどんな意味を持つのか、人々はもう少し考えるべきだった。

倫理的には問題無くとも、それはロビィと名付けられた。
名前がついた瞬間から家族は再構成された。

家族とは何だろう?
いつからか神の名において構成されたのだろうか?
生物の意志はどこにあるのか?宇宙が定めた運命だとしても、家族の構成は不変と信じられていた。

人類の定義が不変と信じられていたのと同じ理由である。
産業革命以前は人類こそが最も正確で統一性があり規則性に従い定量的なパワーがあると信じられていた。
しかし産業革命以後は人類はファジーで不定形で、不正確であり、多様性と個性があると認識は改められた。
人類の定義すらも歴史の中では変化しているのである。

いつしか人は分業と言う産業形態を通じて社会効率を高めることを知った。
ならば家族にも分業と言う概念が生じることは遅くない、それは今現実として目の前に変化が起きている。
家族構成と言う物は、束縛と成長の環境であり、腐葉土のような物であった。

いつしか家族構成に一つの変化が訪れた。
単純労働者として加わったその「ロボット」は、子守りと言う決められたルーチンワークと厳格な生命保護規定によって運用された。
それが2年3年と言う短期ならば問題無かっただろう。
だが10年20年と続けばどうだろう?

ロビィは1世代を通じて家族の地位を獲得した。
そして人類は子守りを手放すことで、子との関係を失った。

<- アーパルネット エンピレーのログファイル より ->

Access Log Report01

XLoC.X-0A0A1C885SD.BiN.200.FoC – – [270/780:234448+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A24ga8/C2LV”
XLoC.X-0A0A1C885SD.DeN.669.LoC – – [270/780:2305816+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A04gc8/C2LV”
XLoC.X-0A0A1C885SD.SeN.929.FCX – – [270/780:2303829+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A14gc8/C2LV”
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XC2D.X-0B0C1C885SD.Mei.838.FoL – – [270/780:0023352+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A.4XA2/C0LV/CounterAccess”
XLoC.X-0A0A1C885SD.SiX.912.FoC – – [270/780:0023408+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A84gM8/C2LV”
XLoC.X-0A0A1C885SD.CeA.634.RIN – – [270/780:0023411+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A74gK8/C2LV”
XLoC.X-0A0A1C885SD.AoL.408.DeN – – [270/780:0024311+CLXA] “SwGET / ECoD/R2” 228C-X202-A01 “PeRCrail/20A84ga8/C2LV”

PE緊急展開ログ

[Critical Error:CE201] ケイネルレス軸界彼岸接合時 複層復元展開クリティカルエラー
[Critical Error:CE202] 第二緋膜経由復元クリティカルエラー
[Critical Error:CE203] 再構築クリティカルエラー
[Critical Error:CE990] 原因不明のエラーです
[Error AL Report] 転送素体を損壊しました 重大エラーを検知 緊急修復コードを実行します
[EM Call Message from 輸減ニフ] こちら輸減ニフ、現在外部妨害を認識した。機能保全を最優先とし、優先執行コードを送信する。
[EM Call Message from 輸減ニフ] 本送信コードは自動判断による物であり、送信コード以上の意味を持たない。
[AL Action] 緊急修復コード処理実行
[Critical Error:CE990] 原因不明のエラーです
[AL Action] 緊急修復コード処理中断
[Error AL Report] 緊急修復コード実行処理中断 基礎体再生処理を開始 展開データ分類処理をバックグラウンドにて並行稼動
[AL Action] 展開データ分類処理実行
[Error AL Report] NeCFaLからエラー補正データ受信
[AL Action] エラー補正データ受信開始
[Error AL Report] 随伴転送保護領域から保護補正データ受信
[AL Action] 保護補正データ受信開始
[AL Action] エラー補正データ受信完了
[AL Action] 保護補正データ受信完了
[AL Action] 展開データ分類処理完了
[JOBs OPS] クリティカルエラーを検知 緊急展開を申請します
[System] 緊急展開申請を受領、展開ログ記録開始
[JOBs OPS] 初期稼働ジョブ停止処理開始
[System] 緊急展開を開始します
[FDM] 緊急管理権限が実行されました アラートシグナルを発令します
[FDM] ForceAction Alert2175
[JOBs OPS] 一般保護ジョブ停止
[JOBs OPS] 運用保守ジョブ停止
[JOBs OPS] 特務領域ジョブ停止
[JOBs OPS] 装具転送ジョブ停止
[JOBs OPS] 相互通信ジョブ停止
[System] システム保安機能により連続自動実行抑止目的から待機処理を実行します
[System] 3
[System] 2
[JOBs OPS] 初期稼働ジョブ停止確認
[System] 1
[System] ReturnCode 0
[System] 現在稼働ジョブは存在しません
[EMAction] 緊急展開ジョブを実行します
[EMAction] 緊急作業領域を取得します
[Critical Error:AE010] 緊急作業領域の確保に失敗しました
[EMAction] 緊急作業領域が確保出来ません ターゲット領域変更 第二作業領域
[EMAction] 緊急作業領域を取得します
[Critical Error:AE010] 緊急作業領域の確保に失敗しました
[EMAction] 緊急作業領域が確保出来ません ターゲット領域変更 第三作業領域
[EMAction] 緊急作業領域を取得します
[Critical Error:AE010] 緊急作業領域の確保に失敗しました
[EMAction] 緊急作業領域が確保出来ません ターゲット領域変更 緊急触媒領域
[EMAction] 緊急作業領域を取得します
[EMAction] 緊急作業領域を確保しました
[EMAction] 作業開始条件を確保します
[EMAction] 作業開始条件を確保しました
[EMAction] 前提触媒を確保します
[EMAction] 前提触媒を確保しました
[EMAction] 変性触媒を確保します
[EMAction] 変性触媒を確保しました
[EMAction] 出力環境を確認します
[EMAction] 出力環境 – 有機物性 確認処理開始
[EMAction] 出力環境 – 有機物性 不能 87 可能 3
[EMAction] 出力環境 – 阻害物性 確認処理開始
[EMAction] 出力環境 – 阻害物性 不能 92 可能 2
[EMAction] 出力環境 – 電体物性 確認処理開始
[EMAction] 出力環境 – 電体物性 不能 1 可能 101
[EMAction] 出力環境 – 反珪物性 確認処理開始
[EMAction] 出力環境 – 反珪物性 不能 0 可能 87
[EMAction] 緊急展開条件 チェック開始
[EMAction] 第一チェック  …..OK
[EMAction] 第二チェック  …..OK
[EMAction] 第三チェック  …..OK
[EMAction] 第四チェック  …..NG
[Warning Error:AE] FlaX CE1022 が不足しています
[Warning Error:AE] FlaX CE2048 が不足しています
[Warning Error:AE] FlaX DE0024 が不足しています
[EMAction] 緊急展開条件 補正処理開始
[EMAction] 第一チェック  …..OK
[EMAction] 第二チェック  …..OK
[EMAction] 第三チェック  …..OK
[EMAction] 第四チェック  …..OK
[EMAction] 緊急展開準備フェーズ開始します 犠牲体を取得します
[EMAction] 犠牲体を取得しました
[EMAction] 緊急展開 第一フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 第一フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 第二フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 第二フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 第三フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 第三フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 第四フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 第四フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 最終フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 最終フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 検査フェーズ処理を実行します
[EMAction] 緊急展開 検査フェーズ処理完了
[EMAction] 緊急展開 出力処理を開始します
[EMAction] 緊急展開 出力処理を完了しました
[EMAction] 緊急展開 全ファクタ完了 作業ログを記録しホワイトボックス管理下へ移送します
[JOBs OPS] 緊急展開 作業完了 上位ジョブへ後送
[System] 緊急展開 作業完了確認 運用ジョブへ移送
[FDM] アラートシグナルを解除します
[FDM] ForceSuspend Alert2175
[JOBs OPS] 通常待機フェーズに入ります 初期稼働ジョブ再起動実施
[JOBs OPS] 一般保護ジョブ開始
[JOBs OPS] 運用保守ジョブ開始
[JOBs OPS] 特務領域ジョブ開始
[JOBs OPS] 装具転送ジョブ開始
[JOBs OPS] 相互通信ジョブ開始
[Shell Interactive-mode] .00.000.おかえり
[EM Call Message from 輸減ニフ] 現刻よりデータ監視開始とする

降雨三七〇天層記録

雨の日は不快だ。
最悪の気分にさせてくれる。
外出出来ないばかりか、狙いすましたかのように良くない知らせが届く。

環境集中制御権についてエトリア真王やセルドレイク民王が借用を申請してきた。
借用するとかしないとかじゃない。
何度も言うが環境集中制御権とはそう言う物ではない。
これは人類に対して常に公平で中立であるべき存在だ。
そもそも今回の件はリングレンドの中央民会から疑義が出ているし、
お隣のパンファレス監視局からはどこで情報を知ったのかご丁寧に緊急通信でクレームまで入れてきた。面倒臭い奴らだ。

ある日のこと、セルコンの空中給油艇が降雨種と晴天種を仕入れてきた。
これをまずアプリコットの天候種検査室に送らないといけない。
種は一口に降雨と言ってもその中身は多種多様で、大小様々な物があるばかりか、中には災害レベルの物がある。
天候種検査室では災害レベルの物を除外する作業があるのだが、気の長いことにこれが最短で1週間、長い物で3ヶ月調査がかかる。

天候種は効力時間の幅が非常に大きい、短い物で6時間、長い物で1200時間だ。
種の消費量は非常に激しい物であり、当然ながら効果範囲に応じて消費量も増す。
膨大な天候種を常に同時に検査しなければこれら需要を満たす供給量を維持出来ない。
万が一の為の緊急天候種ももちろんあるが、在庫は60日分しかない。
かつて先見の明があった復古王の時代では900日分の在庫があり、潤沢な自然環境担保があることから
農産物投資および将来安定性も極めて高かった。

カンタレイアから科学査問官が到着した。
お元気でありましょうか互恵天候官、と耳をつんざくばかりの大声が私の脳髄を貫く。
その大声は不愉快だからやめろ、と私は直言した。
が、どうにも意図が伝わらなかったようだ。
小声でお話しましょう!それは大声だった。こいつの脳は腐敗しているに違いない。

科学査問官エビレック・木樹は眼鏡をかけ、小柄で、なぜか分からないが白衣を着ている童顔の男だった。
見た目の割には知恵に富み口が達者であり、外見の幼さに油断し彼に言いくるめられて気がつけば予算を削減されたプロジェクトは数知れない。
それ以来彼はあちこちで予算削減の悪魔と呼ばれている。が、本人はさして気にしていない。

なぜか知らないが彼は私の業務計画には増額を提案してくる。
そして増額に見合った計画を提出しろと言ってきた、前後が逆じゃないか?
彼は涼しい表情で返事した。
そんなことをしていたら100年経っても予算なんて決まりませんよ。
こいつの中央民会に対する議会交渉能力や上院への説明がどのような現象になっているのか知りたくないし知る方法も無いが、
なぜか分からないがこいつは上手いことやってのけて業務計画の予算を獲得してくる。

具体的に何をすればいいんだ?そう尋ねると、契約書とペンを取り出した。
物事は簡潔明確に信条の彼にとっては契約書こそが至上の存在だ。
全ては彼の計画通りに物事は進んでおり、あとは私が名前を書くだけだった。
雨の日に全て用意された書類にサインするだけなど不快だ。

いつからこれを計画していたんだ?
だが彼は直接はそれに答えず、サインするかしないかにしか興味を示さない。
過去一度も彼は私に対して不利益なことはしなかったから、ある意味信用出来る。
だが信用していることと同じぐらい、彼のことを私は信用していない。

サインを終えると彼は世間話をする。
美味しい食事の話、近所の愉快な出来事、叔母のおもしろおかしな出来事。
どれも退屈極まりない話だが、時々彼は会話をしながらすっと手紙を差し出す。
それは決まって「この時この場では読むな」と言う意味合いの物だ。
誰かから話を聞かれていることを恐れているのだろうか。
用意周到なことだと感心するが、まるで策謀の片棒を担ぐようで私の不快感はとてつもないことになっている。

話が終わり、彼に紅茶を飲ませて建物から追い出した。
何だか分からんが、本当に疲れた。
今日は早く仕事を終えて寝よう。
寝るに限る。

その日、天候はとても晴れ晴れとして気分は最高であった。
と言いたいところだったが最悪であった。
年次報告会において公然と衝来サカディアから非難された。
彼と彼のろくでもない近視眼な支持者達から決議を取られると、途端に私の考えや成果は無かったことになった。
なぜこんなことになった?
本人の弁によると真王、民王の要請を無視して独断専行し、私利私欲のために権限を用いたからだと言う。

鼻で笑うしか無い。
真王、民王こそ私利私欲であろう。
そして中央民会にはどう説明するのだ?
彼はそれに答えなかった代わりに笑顔を見せた。
おそらく真王、民王 のどちらか、あるいはその両方の支持を得られたのだろう。

愚かな同僚を持った。
私はため息を嫌悪するが、その日ばかりはため息を吐いた。吐きまくった。

年次報告会では私の互恵天候官としての権限剥奪と降格処分、そして謹慎処分が決定された。
まるでそれで満足しろと言わんばかりに天候監視官の地位を与えられた。
新人に与えられる暇で暇で仕方ない仕事だ。つまり、一番の下っ端だ。

私についてくると言ってくれた部下もいたが、全て断った。
被害者を無闇矢鱈に拡大させるのは良くない。
同時に、正直部下を連れてもその地位では何の役にも立たない。
暇人が増えるぐらいなら、有能な互恵天候官は現場に残るべきだ。

私は互恵天候官であることを示す記章を外して、会議から出た。

三月もすると、謹慎処分解除通知が私の手元に届いた。
顔馴染みの配達員が行政通知書を見て笑顔で話しかけてきた。
おどろおどろしい色以外の行政通知書は基本的に穏当な内容であるから、配達員は色を見ただけで大体内容が分かる。
良かったですね、と配達員は声をかけてきた。
本当に良かったのだろうか、配達員に礼を述べて室内に戻り、肘掛け椅子に腰を落として手紙を開けた。

元互恵天候官 穂包・スラマンド。この度は謹慎処分撤回お祝い申し上げる。
しかしながら貴殿の職場への復帰は上級官庁より拒否された。
だが私は貴殿の類まれなる能力を考え、新組織である行政集中処理の上級官庁人事監督管轄外である連絡事務員として活躍して頂きたい。
この職であれば上級官庁の許諾は不要であり、監査委員会も介入してこない。
また一度組織に所属してしまえば、内部昇進に外部の決裁は一切不要である。
元の地位への復帰が出来ない以上、一番下の地位からの再出発だが貴殿は能力があるから恐らく二月もかからず存分に昇進、活躍出来るだろう。詳細は後日連絡する。
行政集中管理処理事業 統括責任者 エビレック・木樹

追伸
エトリア真王は派閥抗争で敗北し政治能力を喪失、セルドレイク民王は高齢により隠居された。
同時に中央民会による査問委員会が行政全般の再検査を行った。
衝来サカディアとその部下達は中央民会に従わなかった反乱謀議疑惑により左遷、追放処分となった。貴殿は運が良い。

ふと目を外に向けると雨が降っていた。
雨の日はやっぱり不快だ。

<- ノード家の記録 日時不明 場所不明 状況不明 日記より ->

ノヴァ管理機構 Log000-22 共感恐怖

人類が発せられる感情に対して、それが対象者が自身か他者かであるかを問わず
強い感情表現に対して激しく反応する人類個体は存在します。

強い感情表現に自身の感情が誘引される為、自己防衛本能から感情に対して忌避します。
その感情とは激怒や憎悪だけではなく、強い愛情や信仰も含まれます。

共感恐怖は自身の感情が他者に飲み込まれることへの恐怖から、感情との距離を取ろうとします。
これによって自身の感情を保ち、感情の起伏を避けることで自我を保つことが至上命題となっています。

<– ノヴァ管理機構 歴史記録素子保管庫 共感恐怖について –>

国家 C-LH1-LogPre3_OpenM1

アルバトロン委員長代理

本件調査のため、本日、政府参考人として国務省政策統括官小見川ソリダ君、内務省危機統合政策局政策審議官カネルネミディア君、内務省自治局公共政策部長瀬區別リンガ君、
技術科学省大臣付政策審議官泉銀シモン君、労働省政策審議官スロッギアオリバー君、労働省緊急援護局保健福祉部ベルツミシャ君、人類資源管理局ガス電力統括部長歯衣ケンブレー君及び遠地行政統合管理局インフラ政策部長天羅勝香夢見君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

<異議なし>

アルバトロン委員長代理

御異議なしと認め、そのように決しました。

アルバトロン委員長代理

特別質疑の申出がありますので、順次これを許します。穿利ルーデン君。

穿利委員

穿利ルーデンでございます。
特別質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
先日のラングリッサ防衛計画において、人類の勇士達に哀悼を捧げたいと思います。黙祷。

<沈黙>

質問に入ります。
現在の人類災害において喫緊の問題となる食料輸送計画は第三次段階まで進捗していると政府公表がありました。
しかしながら現地メディア報道によりますと末端食糧支援が行き届いていない、また不法コミュニティによる食料価格の釣り上げや犯罪組織の収益に間接加担している現状があります。
政府としてこれにどのように対応しているのか、現在の取組状況についてお伺いをしたいというふうに思います。

アルバトロン委員長代理

内務省危機統合政策局政策審議官カネルネミディア君

カネルネ政府参考人

お答え申し上げます。
今御指摘のとおり、第三次段階食料輸送計画についての進捗はあくまでも食料支援の開始を意味するものであり、
末端食料支援計画の進捗とは別個の報告となります。これについては統合食料支援計画の定例委員会にて報告させて頂いております。

今回の計画の際しましては、応急対策を行う被災した区域への迅速かつ相当規模の担当者派遣ということは必要不可欠となってまいります。
これについては人員派遣システムと言う物を用い、前進補給戦略と言う物を確立した上で補給ライン維持を確保、構築いたしました。

このシステムは被災者管理、保健対応、衛生食料、上下水道、電気対応業務の支援などを行うためにその作業員及び管理監督者の派遣をするシステムであり、一体化された統合支援状況を生産いたします。
第二次段階食料輸送計画からこのシステムの提供は開始され、述べ2万4754名の人員派遣をいたしました。
また地域区域管理者に対して助言等と行う罹災マネジメントアドバイザも80名派遣しております。
この経験を踏まえまして、第三次段階食料輸送計画からは個人ではくチーム単位での派遣を行うチーム派遣制度及び支援活動を統括する統括支援本部制度も構築するなどシステム充実を図りました。
今後とも、このシステムの円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

不法コミュニティに関しては先述の罹災マネジメントアドバイザが対応、現在83件報告中76件が解決したと報告を受けております。
犯罪組織の活動に関しましても現在通報のあった177件中170件で既に検挙、被害回復が行われており順次治安は回復されている認識です。

穿利委員

ありがとうございます。
諸外国事例も参考にしつつ、多くの制度を同時かつ並行的に処理しなければいけないと考えており、ぜひ取り組んで頂きたいと考えております。

現在、二次災害及び災害関連死が増加していると言う報道があります。
トイレ、ベッド、キッチンこのような部分も含めて戦争難民よりも酷い状況と言われる現在の状況の一日も早い回復と復興に向けて尽力していただきたいと考えております。

続きまして、こちら皆様のお手元に配布いたしましたのは市中心部で活動されていました行政職員アマミツの証言が記載された内容であります。
非常に大きな災害の中で、それぞれの持ち場持ち場で初動対応、行政対策、物資、給水、避難所運営、住宅、震災廃棄物、従来業務、ご家庭、お子様達に関わるそれぞれ職員の自分たちの経験をもとに数字を交えて報告を書いているものでございます。

共有をするというところの、そのときそのときで状況と言うのは変化するのはあって当たり前と言うのは前提認識の上で、共通部分と言うのも非常に多く存在すると考えており、他地域においても似たような記録が作られていると聞き及んでおり、被災者救済経験は失敗事例も含めまして、今後の発生するであろう災害においてどのように生かしていくかが非常に重要と考えます。

経験則でしか補えないと言う部分も多分にはございますが、いかに多くの人にこの経験を共有するかと言う部分において、国としてどのように取り組んでおられますでしょうか。

カネルネ政府参考人

お答え申し上げます。
ご指摘のとおり、災害を経験した地域のノウハウを他の地域災害対応に生かすことが大変重要であるというふうに考えております。
政府といたしましても、毎年、災害対応庁との共催により、全国の地域を対象とした防災危機管理トップセミナーを開催させていただいておりまして、
四七年度には、被災地域であるアーベント市長を講師として招き、約三百人の首長さんに講義を聞いていただいたところでございます。

今年度は、二箇所の地域から二人の首長を招きまして、それぞれの経験に基づく災害対応について御講義いただくことを予定しております。
今後とも、被災地域におけます災害対応等の経験を他の地域防災対応に生かしていく取組を推進してまいります。

穿利委員

ありがとうございます。

<– 旧世界 国家公記録より –>

茨のお城とお姫様

とある国の茨のお城にお姫様が住んでいました。
お姫様には三人の忠実な騎士がいました。
1人は体力が屈強な男、1人は精神が屈強な男、1人は体力も精神も屈強な男でした。

お城は北の北の、一番北の寒い地域にありました。
お姫様も騎士もいつも簡素な食事をしていましたが、今年は特に種類も彩りも無い食事でした。

お城の大地は寂しく、痩せていて、ほとんど食べ物が取れません。
私達は陽と熱を大地に当てることで再生を試みましたが、それは出来ませんでした。
私達の城の近くまで、夜になると野盗が襲ってくるので、大地を育てる余裕が無かったのです。

解放都市ナタールへ第二次復興団が到着した時、私達は救済活動をしていました。
病気予防の観点からまず大地浄化作戦を担当しました。

第一次大地浄化作戦 では総量640,000kgの熱力弾が投下されました。
効果評価では事前評価の 1,220,450wLP / Cx に対して質量計測評価ベースが 1,105,300wLP / Cx、熱量観測評価ベースが 1,302,805wLP / Cx となり、目的完遂と考えられます。

本作戦の実務評価基準はAA、投資評価基準はA-、政策評価基準は A+、会計評価基準は B-となります。

お城は年々と寒さに凍えるようになりました。
そこへ精神が屈強な騎士が姫に進言しました。
「私が野盗を退治しに行きましょう。この城と土地に未来を与えるのは私の使命です」

「しかし、野盗は非常に恐ろしい武器を持っていると聞きます。大丈夫なのですか?」
お姫様は精神が屈強な騎士に尋ねました。
「必ずしも大丈夫とは言えないでしょう、しかしやらねばなりません。もちろん全く計画が無いわけではありません、それは非常に練られに練られた計画です」
精神が屈強な騎士の瞳はとても力強く、 自信たっぷりとした返事でした。
お姫様はすっかり安心して答えます。
「あなたの忠誠心と名誉は永遠の物でしょう。頼みました」

リゾート施設オムニ・リュグレッサを復興司令として再建し、私達はここを活動拠点としました。
復興司令は約1760人が常駐する巨大行政機関です。
私達は復興動員令に基づく復興要員約26万4000人をここから指揮しました。
同時に幾つかの新技術も実験目的で投入することとなりました。

私達が社会基盤整備能力を取り戻しつつある時、広範囲に渡って適正環境再生が確認されました。
それはどれだけ強い希望と喜びだったでしょうか。

環境整備戦力の投入は予定通りです。

精神が屈強な騎士が旅を出てからしばらく時間が経ち、お姫様は日々不安になってきました。
「かの者は大丈夫なのでしょうか」
体力が屈強な騎士が応えます。
「かの者の忠誠心を疑う者など一人もおりません。しかしながらかの者も人の身、どこかで傷ついて癒やしておるかもしれません」
「傷だと」
お姫様が慌てて椅子から立ち上がると、体力な屈強な騎士は頭を垂れます。
「どうか私めに、かの者を助力する許可を下さい。必ずや生きて帰りましょう」

お姫様は不安に思っていましたが、しかし騎士達は常に勇敢でその魂が清らかであるのは事実なのです。
騎士達の想いを無碍にすることなど、誰ができるのでしょうか?
「分かりました。あなたにぜひ頼みましょう」

理念型遺伝子回路”オーシェ”に率いられた人工機械化部隊は復興活動に多大な恩恵を与えました。
土壌を改良し、空気を浄化し、自然豊かで人々が住めるよう街を整備しました。

私達は無機物と有機物の素晴らしき混合、配合の先に人類の生存領域を見出すことが出来たのです。
これをこそ私達は彼の地を新大陸と呼ぶ大きな理由です。

私達は火器を用いて草花を見事蘇生させました。
この奇跡は未来永劫語られることでしょう。

茨のお城にはお姫様と体力も精神も屈強な 一人の騎士が残されました。
騎士は言いました。
「先に出かけた二人が気がかりです、かといって城を出てはここは無防備になってしまう。
私はここから離れるつもりはないですが、二人の行き先だけが気になるのです」

お姫様は考えに考え、こう切り出しました。
「では二人で一緒に探しに行きましょう、それならばみんな見つかるでしょう」

こうして茨のお城は無人のお城となりました。
そのお城の広間には素敵な素敵なお花だけが残されていたのです。

< スキョルの終幕劇 第七章より >

私達は残された全てにおいて、この可能性と未来に富んだ大地を再開、再現、復興せねばならないと信じています。ありがとう。

<– 復興活動第二報告書より –>